社会変革のための活動
みなさんに知っていただきたい
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理事長対談シリーズ
理事長対談シリーズVol.7
佐々木 豊 氏
パーソナル・トレーナー
■Guest Profile■
佐々木 豊(ささき ゆたか)
1966年 和歌山出身
ビジネス戦略コンサルタント・体脂肪コントロールトレーナー・レジェンド ブランド プロデューサー
元サンボ世界チャンピオン
世界一マイナーなサンボ競技でブックオフとスポンサー契約し、 引退後 体脂肪コントロールファットオフを立ち上げる。
現ファットオフ代表取締役
体脂肪コントロール教室を運営しつつ トレーナー、セラピスト向けのコーチングスクールと マーケティングスクールを運営中
座右の銘「抽象思考こそ成功の秘訣」
著作
「格闘家に学ぶ体脂肪コントロール」2008
「体脂肪コントロール トレーニング」2009
「格闘家のための完全減量マニュアル」2010
「すぐ効くストレッチ」2011
思想家とパーソナル・トレーナーが語る
抽象度を上げる方法1.0
手にした人だけが次の時代に行ける抽象思考法
はじめに
こんにちは。思想家の小楠健志(おぐすけんじ)です
僕は思想家なので、思想を持っています。
「空」の中にある思想ということで「空中思想」と言います。
しかし、僕は目標を持っていません。
それなので必然的に計画も持っていません。
僕は社会事業家でもあるので、現実において起業をすることが多いです。
理念や思想はありますが、目標や計画はあまりありません。
これが「抽象」です。
「抽象」と「漠然」は違います。
年始の目標や計画は持たずにやるという方がたまにいますが、あまりそれには賛同できません。
なぜならそれは「漠然」だからです。
漠然ゆえに、何も成し遂げられません。
高い抽象度がないのであれば、目標も計画も両方持った方がいいです。
ただし、戦争をなくす、貧困をなくす、病をなくす、差別をなくすといった抽象度の高すぎるものに関して言うと正直、目標も計画も立てるのが難しいです。
これが「抽象」です。
漠然とは違います。
「抽象」と「漠然」は違います。
そして抽象の反対は「具体」です。
「抽象」と「漠然」と「具体」この3つとも違うものです。
この違いが分かるようになるだけでも、全く違う人生があなたを待っています。
読むだけで抽象度が上がる抽象度シリーズですが、今回はそのものずばり、どうしたら抽象度が上がるのか?というお話です。
抽象度を使ってロシアの国技サンボの世界チャンピオンにまで上り詰めた、佐々木さんとの対談です。
今回は前編後編に分けてお話をさせていただきました。
この文章もあえて抽象度を上げたり下げたりして書いてみました。
こんな感じで、お話は進んでいきます。
抽象度ジェットコースターを楽しんでください。
抽象度とは何か?
佐々木:今日は『抽象度の上げ方』をテーマに対談をさせていただきます。よろしくお願いします。
小楠:よろしくお願いします。
まずは『抽象度』とは何かについて、お話できたらと思います。
佐々木さんは、この言葉をどのように捉えていますか?
佐々木:僕は、目の前の現実(リアル)から離れたものという認識でいます。時空を超えた遠い視点で『今』を捉えられるか、という事です。
抽象思考によって実際に過去から、未来から、空の上から、といった多くの視点から見る事ができると思います。
こうしたあらゆる角度から『今』を捉えた時に、どのように進むのが望ましいか、その選択を考える事が大切です。
僕はこのような思考を『抽象思考』と呼んでいます。
僕の授業で言うならば、体脂肪コントロールでの成功も、ビジネス、スポーツの成功も全てにおいて『抽象思考』が必要だと考えています。
小楠:なるほど。実際に佐々木さんは、過去にロシアの国技サンボで世界チャンピオンになっていますが、これもまた『抽象思考』があったからこそ成し得たものでしょうか。
注:サンボとはロシアの国技で柔道に似た競技といえば説明が早いと思います。下半身への関節技も認められている組技だけのスポーツです。
佐々木:その通りです。
僕は格闘技の強さの優劣というものは、フィジカル的な面やメンタル的な面、あるいは技術的な面を持っている事は大きな要素にはならないと考えています。
小楠:その考えは一般の方が聞いたら驚く事です。
ほとんどの人は、今言った要素を基準として強さを見ています。
佐々木:そうですね。
しかし、本当に大切な部分はさらに抽象度を上げて他のファクターを見なければなりません。
技術しか見ていない人は戦術しか見えていません。戦術とはコンビネーションに近いもので、その通りにやったら勝てるのかといえばそれは大間違いです。
本当に必要なものは、その上の『構造』なのです。
僕はこの『構造(ストラクチャー)』の中に方向性がつく事で、それが『戦略(ストラテジー)』に変わると思っています。
従ってこうした見えないものである『戦略』を、試合に勝つというゴールに向けて練らなければなりません。そしてそれは全てを上から見下ろすような、時空を超えた場所から物事を把握しなければ見えてはこないのです。
小楠:なるほど。
佐々木さんは、ここでは『勝つことを最大の目的にし、そのためにどうしたら良いかを考える。』というお話をして下さりました。
この中で、抽象度の低いところからいくと『戦術』があり、その上に『戦略』があるということですね。そして、その更に上には『時空』という概念があります。それは『今』戦っているわけではなく、過去や未来を見て、最終的に『勝利』につながります。
佐々木:その通りです。
さらに補足するならば『それを一つの事として捉えられるか』という意味です。例えば、僕達はお互いに同じ道場で練習をする時を過ごした過去があります。それからある日、小楠さんが地元に帰って接骨院と格闘技GYMを始めたという話を聞きました。何年後かにはFacebookをやっている事を話してくれました。ここでの告知や、仕事の記事を見ていれば、小楠さんがどのような活動をしているのかは大まかに把握できますが、NPOジコサポ日本の起業で一年もたたないうちに全国展開を達成したのは本当に驚きました。
また、これもある構造の中で一つの方向をきちんと決めて動いていれば達成できる事なのだと感じます。角度は違えども、格闘技で世界チャンピオンになるための方程式と同じだと思うのです。
小楠さん自身はこれについてどう思いますか?
小楠:初めから全国に展開することを考えていたわけではなく、元々は抽象度も高くありませんでした。
そのため、最初の法人の名前は『ジコサポ浜松』です。地域限定でした。
しかも任意団体です。
本当にすこしずつ、実践とともに抽象度も上がっていった感じです。名称も任意団体ジコサポ浜松から、NPO法人ジコサポ浜松になり、NPO法人ジコサポ日本と変わっていきました。
交通事故で相談に来られる方一人ひとりに接していくと、交通事故で困っている方は日本全国にいることに気がつきました。
そこで、全国に支部を作り全国の交通事故の被害者を救済するという目的が生まれました。そして、困っている方の問題にお応えできるような専門家である弁護士や修理、保険業の方などを探す中で、共通のビジョンを持って協力すれば達成できる目標だと気付く切っ掛けとなりました。
また、交通事故専門士という日本初の交通事故対応資格も創設しました。交通事故のことを習う機会も、教育機関もありません。また専門家であっても、学校の授業の中でも習うことはありませんし、国家試験にも出てきません。それなので、作っていこうということで創設し、こちらも3年で1,600人以上の方が資格者として全国にいます。そうこうしている間に全国に広がっていきました。
佐々木:なるほど。交通事故の被害者にお応えできる弁護士や、保険、修理の方も自分の能力を使える場所を探していて、小楠さんがその機会を作ったという流れですね。
小楠:はい。まず初めの切っ掛けには『困った人を助けたい』という思いがありました。それはずっと変わらない一つの大きな目的になっています。これも、実践しながら人の輪ができ、その人たちからアイディアや今ある問題を聞く中で出来ていったものです。
話が広がってしまいましたが、このあたりで話を分かりやすくするために『抽象度とは何か』という定義付けと説明をしていきたいと思います。まずは、考え方が上から入っていくのか、下から入っていくのかを認識していただくと話が分かりやすくなると思います。
考え方が演繹法をとっているのか、帰納法をとっているのかの違いが理解を助けるポイントになると感じます。
僕は以前、ある方に『小楠さんの話は分かりにくい』と言われた事があります。これを別の人に話してみたところ、その方は『僕は小楠さんの話は分かりやすい。』と言ってくれました。
これは、僕が演繹法を用いてお話をしているので、考え方が具体性から入る帰納法の方には分かり辛く、目的や結論から入る同じ演繹法の人には分かりやすいという事なのです。
その方は弁護士でした。法律とは演繹法で出来ているため、僕のお話も理解しやすいと言っていました。
憲法13条に幸福追求権があります。日本はこれが最上位概念にあります。幸福を成し遂げるため、その下位概念として法律や条例は作られています。
今、僕たちの会話もこうした演繹法から導かれた内容が多いのですが、『抽象』という言葉の対義語が『具体』であるように、話の抽象度が上がれば上がるほど具体的では無くなることを認識して下さるとありがたいです。そして、抽象的になればなるほど多くの範囲を網羅していくため、様々な意味が含まれることになります。
僕は思想家なので『空中思想』という自分の思想を持っています。
この名前は仏教の般若心教に出てくる『空』という概念を最上位概念にしていることが由来しています。
この『空』という概念までたどり着くと、ほぼ全ての物事を網羅してしまいます。簡単に言えば『ある』と『ない』が混ざっているような状態です。例えば過去も空です。過去を持ってきて見せてください。と言ったら、過去はないですが、過去は確かにありました。それなので過去は空です。
言葉も空です。何か話をします。その言葉は消えて無くなり、どこにも無いです。もう一度見せてくださいと言っても、無いですが、あります。言葉も空です。あると無いが混在しています。それが空です。
そして人の脳は、この空を感知しづらい構造になっています。
それは脳という器官自体が二元論でなければ捉えられないからです。
例えば『大きい・小さい』という言葉が使われる時には、そこに『比較』が必ずあります。何かに対して大きいか、小さいか、その基準が必ずあるはずです。そうでなければ大きいという言葉は『宇宙は大きい』にしか使えなくなってしまいます。
つまり二元論的な考え方が脳の構造であり、あると無いが同時に混在している『空』という概念を捉える事が難しいのです。
そのため抽象度が上がって行くと話が分かり辛く感じるのです。
●この対談はこの後、
抽象度を上げていくには?世界は幾つも存在し相対的である
格闘技から見たイノベーションとパラダイムシフト
思考は現実化し続けている
抽象度の高さがゲームの勝敗を左右している
『目的』という上位概念と『手段』という名の下位概念の逆転
あとがき
と続きます。
続きは、Amazonにて発売中の電子書籍にてご覧下さい。