社会変革のための活動
みなさんに知っていただきたい
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理事長対談シリーズ

理事長対談シリーズVol.1
佐々木 尋貴 氏
株式会社日本交通事故調査機構
代表取締役
■Guest Profile■
株式会社日本交通事故調査機構 代表取締役
元警察官としての経歴を持ち、数々の交通事故現場に立つ。
正しく純粋に痕跡を読み取る交通事故調査の必要性と職業倫理を見つめ直し、警察官人生に終止符を打ち、株式会社日本交通事故調査機構を立ち上げる。
事故の真相究明のため、多くの被害者の依頼に向き合っている。
正義の味方 ー交通事故調査からみた社会変革についてー
第1章:警察を退職した、自分に突然起きた事故
小楠:こんにちは。今日は株式会社、日本交通事故調査機構の佐々木尋貴氏と対談をさせていただきます。佐々木さん。まずは自己紹介をお願いします。
佐々木:こんにちは。それでは、自己紹介をさせていただきます。
私は、平成元年に宮城県警の警察官となり、平成22年の2月まで交通警察官として白バイにも乗り、交通事故捜査を担当しておりました。いわゆる一般の警察官で約22年間在籍をしておりました。
小楠:その間、交通事故捜査に主に携わられた期間はどのくらいですか?
佐々木:交通警察官をしていたのは約半分ほど、11年間です。白バイにも7年間乗っておりました。
小楠:佐々木さんがされている職業、交通事故調査というと一般の方からすると非常に聞き慣れない職業なのですが、こういった職業に就かれたいきさつを教えていただけますか?
佐々木:はい。私が県警に在職していた時は犯人を捕まえ、処罰することが仕事でした。警察は交通事故の捜査の上では、犯人を逮捕する側の人間であり、その仕事の中で、事故の被害者という立場で考えることはありませんでした。しかし、平成20年に私の長男が交通事故で亡くなるということがありました。
小楠:その事故が起きたのは息子さんが、何歳の時ですか?
佐々木:長男が18歳の高校3年生のときでした。通学途中に自転車に乗っているところを車に跳ねられるという事故があり、そこで初めて私は被害者や遺族と呼ばれる立場になりました。
そこで初めて、そういった立場の人間として、担当してくれる警察官との関わりあい方というのを自分で体験しました。
小楠:ここで初めて、ご自身が被害者、遺族としての交通事故を経験されたということですね。
22年間交通事故に関わる仕事に従事されて、いつも被害者の方に接していた訳ですが、自分自身がはじめて遺族になることで、気がついたことや、そのときどのように感じられたかを教えていただいてよろしいでしょうか?
佐々木:本当に基本的なことです。
この交通事故はどうして発生したのだろうか?
現在はどの辺まで捜査が進んでいるのか?
という事が知りたいと思いました。
しかしその情報は、捜査上の秘密であり、個人情報保護法等があって、加害者は守られているので警察官から知らされる事はありませんでした。
小楠:仮に相手が未成年だとしたら名前どころか年齢や性別も教えてもらえないということですね。
佐々木:そうです。聞かされません。当然、身内である私や家内の両親などにも、その事故がどのようなものだったのかを答えてくれません。
そうすると、誰にどのように聞けばよいのか?
どのように処理すべきなのか?
自分はどうして良いのかが分からなくなり困ってしまいます。
初めての経験ですから、これまで自分が歩んできた人生の中の経験に基づいた処理ができなくなります。
小楠:なるほど、22年間の警察官という経験をもってしても…
佐々木:そうです。
小楠:一般の方だったら尚更そうですね。
佐々木:はい。どうして良いのかが、わかないと思います。
遺族は悲しみや怒りとともに、自分の大切な人が何故こんな結果になってしまったんだろうということを1秒でも早く、正確に知りたいんです。
事件として、全てまとまってから言うのではなくて、今こういう状況だということをタイムリーに新鮮な情報を知りたいんです。
しかし、そういったことに警察側からの回答を得ることが出来ないという現状があります。遺族がそういったことで困ったり苦しんだりしているということに自分で気づいたのが、今の仕事を始めるきっかけでした。
小楠:勝手な思い込みかもしれませんが、一般的には警察官というと正義の味方というイメージがあります。
我々一般の人間からすると、弱者の味方になってくれるというイメージが非常に強いです。
しかし今のお話をうかがっていくと、遺族が困ってしまったときに、警察は問題解決ができる立場に、そもそもないということになりますね。
佐々木:そうです。
小楠:22年間県警で務められて実際に多くの事故に立ち会ってきた中で、ある時、息子さんが被害に遭われて、自分自身が遺族になってしまった。
そこで警察の側から被害者・遺族側に立場が代わったということですね。
正反対の立場に立ってみて、そこで気づきがあり今の職業に就かれたと思うのですが、そのときの『気づき』とは何でしょうか?
佐々木:もっと警察の方から、被害者の立場に立って情報を知らせるべきだということに気づきました。多くの遺族がそれを望んでいると思います。
しかしそれを警察に望んでも、立場上では捜査中の情報ですから容易に伝えることは出来ません。ですからそこを警察に求めてもダメなんだ、ということにも気づき始めました。
小楠:そういったときに捜査する側から、遺族の立場に代わって警察にはどうしてほしいと思いましたか?
佐々木:遺族や被害者が何を1番に望むかというと、まずは原状回復です。
小楠:元に戻してほしいと?
佐々木:そういうことです。でもそれは無理なんです。
不可能ということがわかったとき次に何を望むかというと、被疑者を適正に処罰することだったり、捜査がいまどのように進んでいるのかだったり、そういった情報を逐次知りたいと思います。
そういったことが警察とご遺族との間のギャップとなり、温度差となり現れていると気づきました。
小楠:本当のことを知りたいということですね。
佐々木:「本当のことを知りたい。何があったのかを知りたい。
皆さんもきっとそうだと思いますが、大切な人や愛する人が自分の知らないところで命を亡くしていたときには、いち早く知りたくなります。
その気持ちでまず頼るのは警察官なんです。被害者は警察官を頼らざるを得ません。でも警察の立場上、捜査中の内容は教えられないという回答になりますから被害者というのは誰からも守られず、どこからも情報を入手できない孤立した立場に追い込まれてしまいます。
